ドクターアドバイス
骨と女性
骨とカルシウム
骨をつくるにはカルシウムが必要なのは皆さんよくご存じだと思います。では骨のカルシウムはどんな役割があるのでしょう。カルシウムは血液の流れにのって体の中に運ばれ、内臓の働きを正常に保つ重要な役目があります。心臓の筋肉のリズムを保ったり、神経の働きをコントロールしたり、細胞の機能を正常に保つ役目や血液の凝固にも関係しています。よくカルシウムが不足するとイライラするといわれるのは、これらの働きが阻害されてくるからです。
血液中のカルシウムの量は多すぎても少なすぎても健康はたもてません。体のカルシウム量を一定に保っているのは、実は『骨のカルシウム』なのです。例えば、カルシウムのとり方が少なかったり、吸収のされ方が少なかったりすると、骨のカルシウムが溶けだし血液中のカルシウム量を一定に保ちます。つまり骨のカルシウムで体のカルシウムの量を調節しているのです。体のカルシウムが減ると骨のカルシウムで補給。その回数が増えると骨の中のカルシウムはなくなり中身はスカスカに。その結果、骨がもろく折れやすくなる。それが骨粗鬆症なのです。骨はカルシウムの貯金箱です。貯金がすぐにできないように、カルシウムも同じです。コツコツ貯めるしかないのです。
女性の骨
女性は男性よりも骨粗鬆症になりやすい体質です。それは女性ホルモンの減少によるものです。女性は骨塩量、つまり骨に含まれるカルシウムを中心としたミネラルの量が少ないうえに、五十歳くらいで閉経を迎えると女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が減少します。このエストロゲンは骨からカルシウムが溶けだすのを防ぐ働きのある大切なもの。そのエストロゲンの量が減るため閉経後の女性は骨からカルシウムが溶けだしやすくなるので、特に女性の骨粗鬆症が多いのです。
日本人は今だにカルシウムだけは摂取不足です。今の世の中、飽食の時代といわれながらも不足ぎみということは、よほど心がけないとカルシウムを貯蓄できないといえるでしょう。女性は特に妊娠出産でカルシウムをたくさん使うわけですし、今や無理なダイエットが原因でカルシウム不足になっている人も多いようです。予防は早いにこしたことはありませんが、年をとってしまったからもうダメということではありません。少なくともカルシウムが減っていくスピードをゆるめることは可能です。偏食や食塩の過剰摂取、多量の飲酒、喫煙、コーヒーなどのカフェインの多量摂取などはカルシウムの吸収を妨げるので極力さけることが予防にもつながります。
後程ご説明いたしますが、カルシウムが不足しがちだからといってカルシウムの食品だけ摂ればいいというものではありません。いろんな栄養素と運動などが総合的に効果的に作用してこそ生まれるものなのです。
骨を守る生活
1. カルシュウムをしっかりとろう。基本はバランス食!
日本人はカルシウム不足。食生活が豊かになって、他の栄養素はすべて必要量を上回っているのに、カルシウムだけはまだまだ足りません。一般の成人で600mg、妊婦で1000mg~1200mg必要です。
カルシウムを多く含む食品は、牛乳・乳製品、小魚類、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、海藻類です。これらの食品を色々組み合わせて献立をたてれば、カルシウムの摂取はもちろん、栄養バランスのとれた食事ができます。洋食よりもおふくろの味にはカルシウムがいっぱい詰まっています。
2. カルシウムの吸収を助けるビタミンD
ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を助ける頼もしい助っ人です。ビタミンDは食物からも摂取することができますが、日光を浴びる事によってもカラダの中でつくることができます。日光を浴びるといっても1日に30分も木陰にいれば大丈夫です。ですから買物や散歩などで外に出るだけで十分なのです。 ビタミンDを多く含む食品は、塩ざけ、うなぎ、さんま、かれい、かつお、さば、まいわし、にしんです。
3. 運動で鍛えれば、骨も強くなる
食べ物からたくさん摂ったカルシウムを骨に蓄えるには、体を動かして骨に負担をかけてやる必要があります。適度な運動は骨の新陳代謝を活発にし、カルシウムが骨に沈着するのを助けます。ただし、ハード過ぎるスポーツは危険。特に女性は、ホルモンのバランスが崩れ、骨が弱くなることがあります。ですから、ふだんからこまめに動く習慣をつけましょう。家の近くや公園などを散歩したり、できるだけ歩くように心がけるだけでずいぶん違ってきます。
骨を守るためにカルシウムは必要ですが、それだけではいけません。カルシウム、ビタミンD、運動の三つが揃って初めて予防できます。カルシウムは口から入ったものがすべて吸収されるというわけではありません。食品によって吸収率の差はありますが、それよりもビタミンDの助けや適度な運動によって、カルシウムが骨に一層利用されやすくなります。
料理のワンポイント
肉や魚の付け合わせには、ほうれん草や小松菜などカルシウムを多く含む野菜を添えましょう。カルシウムは酸によって溶け、吸収されやすくなるという性質があります。小魚はそのままより油で揚げてマリネ風にするなど酢を使った料理がおすすめです。
とりすぎると悪い栄養素
リンもカラダに大切なミネラルですが、排泄される時にカルシウムと結びつき、一緒に体外につれていってしまいます。肉や魚などのたんぱく質、ハム、ソーセージ、かまぼこなどの加工食品やスナック菓子、清涼飲料が好きな人、外食がちの人は、特に注意。インスタント食品や加工品はなるべく控えたいものです。そのほか、カルシウムを吸着しやすい食物繊維、吸収を妨げる糖分の摂りすぎも要注意です。また、カルシウムは一度にたくさんの量を摂りすぎると吸収率がさがってしまいます。ですからカルシウムはまとめてではなく、毎日少しずつ摂るほうが効率がいいのです。
骨量を調べましょう
ご自分の骨の量はご存じですか?今は、骨量の測定は簡単にできます。まずは調べてみましょう。ご自分の骨量がどれくらいか知ることはとても大切です。妊娠した女性などはカルシウムが不足しがちですから、ぜひ検査を受けてみてください。また30代になったら一度検査し、問題があったら年に一度、健康であった人は40代にもう一度、そして閉経後は毎年検査されることをお勧めします。
小阪産病院でも、骨塩量測定装置での検査を行っています。判定結果は紙にプリントアウトされお一人ずつお渡ししています。簡単にできますので、お気軽にご利用ください。骨粗鬆症は女性の寝たきりの原因の第二位を占めています。今からでも遅くはありません。運動やバランスの良い食事で予防して、どうぞ骨のある女性になってください。